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札幌地方裁判所 昭和57年(ワ)5060号 判決 1985年10月25日

原告

亡庄子徳治承継人兼本人庄子ヨシエ

ほか二名

被告

吉田辰雄

ほか一名

主文

一  被告らは、原告庄子ヨシエに対し各一七万四五八七円ずつ及び内各一五万四五八七円に対する昭和五五年一一月二二日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を、原告庄子勝利に対し各一二万四八六二円ずつ及び内各一〇万九八六二円に対する昭和五五年一一月二二日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を、原告高橋重行に対し各二一二万二五円ずつ及び内各一九二万二五円に対する昭和五五年一一月二三日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を各支払え。

二  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用中、原告庄子ヨシエと被告らとの間に生じたものはその五〇分の一を被告らの負担とし、その余は同原告の負担とし、原告庄子勝利と被告らとの間に生じたものはその二五分の一を被告らの負担とし、その余は同原告の負担とし、原告高橋重行と被告らとの間に生じたものはその四分の一を被告らの負担とし、その余は同原告の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは連帯して、原告庄子ヨシエに対し一八八八万九九六四円及び内一八三六万四九六四円に対する昭和五五年一一月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を、原告庄子勝利に対し六六二万九九八八円及び内六四五万四九八八円に対する昭和五五年一一月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を、原告高橋重行に対し一六〇八万八四〇六円及び内一五五八万八四〇六円に対する昭和五五年一一月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  1につき仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  事故の発生

庄子利祐子(以下「利祐子」という。)及び高橋常義(以下「常義」という。)は次の交通事故(以下「本件事故」という。)により死亡した。

(一) 発生日時 昭和五五年一一月二一日午前一時ころ

(二) 発生場所 苫小牧市植苗一六九番地付近市道

(三) 加害車 普通乗用自動車(札五六た九二〇一号)

(四) 右運転者 吉田敦(以下「敦」という。)

(五) 事故態様 敦は、加害車に利祐子、常義、神林一馬(以下「神林」という。)の三名を同乗させて本件事故現場付近の市道上を走行中、道路左側端の電柱に加害車を衝突させた。

(六) 結果 本件事故により、利祐子は即死し、常義は昭和五五年一一月二二日午後〇時三三分ころ死亡した。

2  責任原因

(一) 敦は加害車を所有し、自己のため運行の用に供していたものであるから、自動車損害賠償保障法三条により責任を負う。

(二) 敦は本件事故により右事故当日死亡した。被告らは敦の父母であり、右により敦の原告らに対する損害賠償債務を相続により承継した。

3  損害

(一) 利祐子について

(1) 利祐子の逸失利益 三〇八一万九九五三円

年収一九〇万四一〇〇円(ただし昭和五五年度の賃金センサス第一巻第一表における女子労働者の産業計、企業規模計、新高卒、全年齢平均の給与額により算定したもの)、就労可能年数満六七歳までの四九年間(死亡時満一六歳)、生活費の控除率三割、新ホフマン係数により中間利息を控除

190万4100円×(1-0.3)×23.123=3081万9953円

(2) 利祐子の慰藉料 一三〇〇万円

(3) 葬儀費用 一〇〇万円

利祐子の父である庄子徳治(以下「徳治」という。)は利祐子の葬儀を執り行い、その費用として一〇〇万円を支出した。

(4) 弁護士費用 七〇万円(各三五万円)

利祐子の母である原告庄子ヨシエ(以下「原告ヨシエ」という。)及び徳治は、被告らが任意の交渉に応じないため本件訴訟の提起、追行を原告ら訴訟代理人に委任し、報酬として各三五万円合計七〇万円の支払を約した。

(5) 相続

ア 徳治及び原告ヨシエは、利祐子の父母として同女の(1)、(2)の損害賠償請求権を二分の一ずつ相続により取得した。

イ 徳治は昭和五八年一〇月二一日死亡した。したがつて、同人の妻である原告ヨシエ及び子である原告庄子勝利(以下「原告勝利」という。)は徳治の被告らに対する本件損害賠償請求権を各二分の一ずつ相続により取得した。

(6) 損害の填補 二〇〇〇万円

徳治及び原告ヨシエは自動車損害賠償責任保険から二〇〇〇万円の支払を受けたので、これをそれぞれ一〇〇〇万円ずつ各自の損害に充当した。

(二) 常義について

(1) 常義の逸失利益 三九一七万六八一二円

年収三二九万九一〇〇円(ただし昭和五五年度の賃金センサス第一巻第一表における男子労働者の産業計、企業規模計、新高卒、全年齢平均の給与額により算定したもの)、就労可能年数満六七歳までの四九年間(死亡時満一七歳)、生活費の控除率五割、新ホフマン係数により中間利息を控除

329万9100円×(1-0.5)×23.750=3917万6812円

(2) 常義の慰藉料 一〇〇〇万円

(3) 葬儀費用 一〇〇万円

常義の父である原告高橋重行(以下「原告高橋」という。)は常義の葬儀を執り行い、その費用として一〇〇万円を支出した。

(4) 弁護士費用 五〇万円

原告高橋は、被告らが任意の交渉に応じないため、本件訴訟の提起、追行を原告ら訴訟代理人に委任し、報酬として五〇万円の支払を約した。

(5) 相続

原告高橋は、常義の父として同人の(1)、(2)の損害賠償請求権の二分の一を相続により取得した。

(6) 損害の填補 一〇〇〇万円

原告高橋は自動車損害賠償責任保険から一〇〇〇万円の支払を受けた。

4  結論

よつて、本件事故による損害賠償金として、被告らに対し、連帯して、原告ヨシエは一八八八万九九六四円及び内弁護士費用を除いた一八三六万四九六四円に対する本件不法行為の翌日である昭和五五年一一月二二日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を、原告勝利は六六二万九九八八円及び内弁護士費用を除いた六四五万四九八八円に対する本件不法行為の翌日である昭和五五年一一月二二日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を、原告高橋は一六〇八万八四〇六円及び内弁護士費用を除いた一五五八万八四〇六円に対する本件不法行為後常義死亡の翌日である昭和五五年一一月二三日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実のうち(四)、(五)は否認し、その余は認める。

2  請求原因2(一)の事実のうち、敦が加害車を所有していたことは知らない、同人の責任は争う。

3  請求原因2(二)の事実は認める。

4  請求原因3(一)(1)は争う。なお、利祐子の生活費の控除率は五割、中間利息の控除はライプニツツ係数を用いるのが相当である。

5  請求原因3(一)(2)ないし(4)は争う。

6  請求原因3(一)(5)アは争う。同イの事実は認める。

7  請求原因3(一)(6)の事実は認める。

8  請求原因3(二)(1)は争う。なお、中間利息の控除はライプニツツ係数を用いるのが相当である。

9  請求原因3(二)(2)ないし(5)は争う。

10  請求原因3(二)(6)の事実は認める。

三  抗弁

1  本件事故当時、加害車を運転していたのは敦ではなかつた。したがつて、敦は加害車の運行供用者とはいえず、自動車損害賠償保障法三条の責任を負わない。

2  仮に、本件事故当時敦が加害車を運転していたものであるとしても、(一)加害車に同乗していた利祐子、常義、神林と敦とは同じ高校に通つていた友人同士であり、それまでもともに夜間外出することもある仲であつたこと、(二)敦らの通つていた右高校では生徒の在学中の自動車の所有、運転等は禁じられており、運転免許の取得についても学校側の許可が必要とされ、取得後も免許証を学校に預けることとされていたものであり、利祐子、常義らも当然このことを知つていたこと、(三)しかしながら、敦は本件事故直前に学校側の許可なく運転免許を取得したものであるが、利祐子、常義らは本件事故当時敦が右免許を取得して日が浅いことを熟知していたこと、(四)本件事故当時における加害車の運行は深夜のドライブあるいは同乗者の運転練習を目的とするものであつたと推測されること等の事情があり、このことからみるならば、利祐子、常義については好意同乗者としてその損害額の五割を減額されるべきである。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1の事実は否認する。

2  抗弁2(一)の事実のうち、利祐子、常義と敦が同じ高校に通学していたことは認めるが、同人らが友人同士であつたことは知らない、同人らが深夜外出する仲であつたことは否認する。同(二)の事実は知らない。同(三)の事実のうち、利祐子、常義が被告ら主張の事実を熟知していたことは否認し、その余は知らない。同(四)の事実のうち、利祐子、常義らの目的が深夜のドライブにあつたことは認めるが、その余は否認する。利祐子及び常義が好意同乗者に該当することは争う。仮に同人らが右に該当するとしても、その損害額を減額すべきではなく、また仮に右を損害額の算定にあたつて斟酌するとしても、慰藉料を算定するにあたつての一事情としてのみ考慮されるべきである。

第三証拠

証拠関係は、本件訴訟記録中の証拠に関する目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  請求原因1のうち(一)ないし(三)、(六)の各事実については当事者間に争いがなく、また右争いのない事実に、成立に争いのない甲第一号証、第二号証の一ないし三、五、六、乙第一、第二号証を総合すると次の事実が認められる。

1  本件事故現場付近の市道は、南西から北東に通じる車道有効幅員約五・二メートルのアスフアルトで舗装された道路であり、直線ではあるが、上下の起伏のある状態となつている。

2  本件事故当時、加害車には敦、利祐子、常義、神林の四人が乗車し、南西方向から北東方向に向け時速九五キロメートルの速度で走行するうち、道路北西側(進行方向左側)の路外にはみ出し、同所にあつたコンクリート製の電柱に衝突して加害車は大破し、敦は即死(同人が本件事故当日死亡したことは当事者間に争いがない。)、利祐子は本件事故当日、常義はその翌日、いずれも搬送された王子総合病院で死亡するに至つた(なお、神林については上唇部切創等の軽症であつた。)。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

二  次に敦の責任についてみるに、前出甲第二号証の一ないし三、五、成立に争いのない甲第二号証の四、七ないし一一及び証人神林一馬の証言によると、加害車は敦が友人の仲介により本件事故の前日に代金八万円で買い受けたものであること、また本件事故当日の午前七時ころ加害車が発見され、救急車、パトカー等が現場に駆け付けたが、その際敦は加害車の運転席に座つたままうつ伏せの状態で倒れていたこと、更に右発見当時加害車の運転席付近に流出していた血液は敦の血液型と一致し、他のいずれの同乗者の血液型とも異なること、なお加害車に同乗していた者のうち普通自動車免許を有していたのは敦のみであつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

右の事実によれば、本件事故当時加害車を運転していたのは敦であると推認せざるをえず、他に右認定を覆すに足りる証拠は見当たらないうえ、右のとおり本件加害車の所有者も同人であることからみるならば、本件事故当時敦が同車を自己のため運行の用に供していたものというべきである。

そして、敦の父母である被告らが敦の債務を相続により承継したことについては当事者間に争いがない。

したがつて、被告らは本件事故による損害を各二分の一ずつ賠償すべき責任があるものというべきである(なお、原告らは被告らが連帯して右損害賠償債務を負担すべきものとするが、右のとおりそれが相続によるものである以上、法定相続分に応じて分割されるべきものと解される。)。

三  続いて利祐子、常義及び原告らの損害について検討するならば、次のとおりである。

1  利祐子について

(一)  利祐子の逸失利益 一八八二万七〇〇〇円

前出甲第一号証、第二号証の一、乙第二号証及び証人神林一馬の証言によると、利祐子は昭和三九年二月一九日生れ(本件事故当時満一六歳)の女子であり、本件事故当時苫小牧工業高等学校の二年生に在学中であつたことが認められる。したがつて、同女の将来における逸失利益の算定にあたつては、原告ら主張のとおり昭和五五年度における賃金センサス第一巻第一表の産業計、企業規模計、新高卒の女子労働者の全年齢平均給与額の数値を用い、同女の稼働可能期間を高校卒業時の満一八歳から満六七歳までの四九年間とし、その間の中間利息をライプニツツ係数を用いて控除したうえ、生活費の控除割合を四割として右逸失利益額を計算するならば、次のとおり一八八二万七〇〇〇円となる。

(12万5800円×12月+39万4500円)×(1-0.4)〔生活費控除〕×(18.3389〔死亡時から67歳までのライプニツツ係数〕-1.8594〔死亡時から18歳までのライプニツツ係数〕)=1882万7169円≒1882万7000円

(二)  慰藉料 一〇〇〇万円

本件事故の態様、本件事故当時における利祐子の年齢等本件における諸般の事情に照らすならば、本件事故による利祐子の慰藉料としては、一〇〇〇万円が相当である。

(三)  葬儀費用 五〇万円

弁論の全趣旨によれば、利祐子の父である徳治が同女の葬儀費用を支出したものと認められるところ、本件事故と相当因果関係のある葬儀費用については五〇万円と認めるのが相当である。

(四)  相続

弁論の全趣旨によると請求原因3(一)(5)アの事実(徳治及び原告ヨシヱによる相続)を認めることができ、また請求原因3(一)(5)イの事実(原告ヨシヱ及び原告勝利による相続)については当事者間に争いがない。

(五)  好意同乗による減額

利祐子、常義と敦が同じ高校に通学していたこと、本件加害車の運行目的が深夜のドライブにあつたことは当事者間に争いがなく、また右事実に、前記(一)における事実、前出甲第二号証の一、四及び証人神林一馬の証言を総合すると、敦、神林、常義はいずれも苫小牧工業高等学校の三年に、また利祐子は同校の二年に在学し、互いに親しい友人同士としての関係にあつたこと、同校においては、生徒が普通自動車免許を取得するにあたつては同校の許可を要することとされており、更に生徒の在学中は同校側で右免許証を預り、その間の自動車の運転を禁止していたこと、しかしながら、敦は本件事故の約一か月前である昭和五五年一〇月二九日に同校の許可なく右運転免許を取得したものであり、更に、本件事故前日の午後九時過ぎごろ加害車を購入した後、翌日午前〇時ころ苫小牧市内の神林の下宿先を訪れ、同人を誘つて同乗させ、その後利祐子、常義を同乗させてドライブ中本件事故に至つたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

そして右認定の事実からみるならば、加害車に同乗した利祐子、常義らにおいては、敦が運転免許を取得して日が浅く、運転技術も未熟であることを認識しており、また同人から、車両を購入したばかりであることの説明も受けていたものと推認され、それにもかかわらず、あえて校則に違反する同人の運転を容認し、深夜のドライブに参加したものと考えられる。右のような事情に鑑みるならば、本件事故により利祐子が死亡したことに基づく前記(一)ないし(三)の損害については、過失相殺の規定を類推適用し、その三割を減額するのが相当であると思料される。そうすると、被告らは前記(一)ないし(三)の合計額の七割にあたる二〇五二万八九〇〇円の各二分の一(一〇二六万四四五〇円)ずつを賠償すべき責任があるものということになる。

(六)  損害の填補 二〇〇〇万円

請求原因3(一)(6)の事実は当事者間には争いがない。

(七)  弁護士費用 合計七万円

本件における認容額及び本件訴訟の程度等に照らし、被告らの負担とすべき弁護士費用は徳治の相続人であり本人である原告ヨシヱについて四万円、徳治の相続人である原告勝利について三万円が相当である。

2  常義について

(一)  常義の逸失利益 二八五四万三〇〇〇円

前出甲第一号証、第二号証の一、乙第二号証及び証人神林一馬の証言によると、常義は昭和三八年三月一七日生れ(本件事故当時一七歳)の男子であることが認められ、また同人が本件事故当時苫小牧工業高等学校の三年に在学中であつたことは前記1(五)のとおりである。したがつて、同人の将来における逸失利益を算定するにあたつては、利祐子と同様に、原告ら主張のとおり昭和五五年度における賃金センサス第一巻第一表の産業計、企業規模計、新高卒の男子労働者の全年齢平均給与額の数値を用い、同人の稼働可能期間を高校卒業時の満一八歳から満六七歳までの四九年間とし、その間の中間利息をライプニツツ係数を用いて控除したうえ、生活費の控除割合を五割として右逸失利益額を計算するならば、次のとおり二八五四万三〇〇〇円となる。

(21万4400円×12月+72万6300円)×(1-0.5)〔生活費控除〕×(18.2559〔死亡時から67歳までのライプニツツ係数〕-0.9523〔死亡時から18歳までのライプニツツ係数〕)=2854万3153円≒2854万3000円

(二)  常義の慰藉料 一〇〇〇万円

本件事故の態様、本件事故当時における常義の年齢等本件における諸般の事情に照らすならば、本件事故による常義の慰藉料としては一〇〇〇万円が相当である。

(三)  葬儀費用 五〇万円

弁論の全趣旨によれば、常義の父である原告高橋が同人の葬儀費用を支出したものと認められるところ、本件事故と相当因果関係のある葬儀費用については五〇万円と認めるのが相当である。

(四)  相続

弁論の全趣旨によると請求原因3(二)(5)の事実(原告高橋による常義の損害賠償債権の二分の一の相続)を認めることができる。

(五)  好意同乗による減額

本件事故における常義の損害についても、前記1(五)と同様の理由によりその三割を減額するのが相当である。そうすると、被告らは原告高橋に対し前記2(一)、(二)の各二分の一と同(三)との合計額についてその七割である一三八四万五〇円を賠償すべき責任があるものということになる。

(六)  損害の填補 一〇〇〇万円

請求原因3(二)(6)の事実については当事者間に争いがない。

(七)  弁護士費用 四〇万円

本件における認容額及び本件訴訟の程度等に照らし、被告らの負担とすべき原告高橋の弁護士費用は四〇万円が相当である。

四  以上によれば、本件事故による損害額は原告ヨシヱについて三四万九一七五円、原告勝利について二四万九七二五円、原告高橋について四二四万五〇円となるから、原告らの本訴請求は、各被告らに対し原告ヨシヱにおいて各一七万四五八七円、原告勝利において各一二万四八六二円及びそれぞれについて弁護士費用を除いた金額(原告ヨシヱにおいて各一五万四五八七円、原告勝利において各一〇万九八六二円)に対する本件事故発生の日の翌日である昭和五五年一一月二二日から各支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、原告高橋において各二一二万二五円及び内弁護士費用を除いた各一九二万二五円に対する本件事故後常義が死亡した日の翌日である昭和五五年一一月二三日から各支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払を求める限度において理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二条、九三条を、仮執行の宣言について同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 持本健司)

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